義妹は浮気に含まれないよ、お兄ちゃん1

あんま興味を持つジャンルではなかったんですけど今まで全作買ってた好きな作家さんだったので作者買いをば。
義妹は浮気に含まれないよ、お兄ちゃん1 (富士見ファンタジア文庫) - 三原みつき, 平つくね
義妹は浮気に含まれないよ、お兄ちゃん1 (富士見ファンタジア文庫) - 三原みつき, 平つくね
やっぱこの作家さんの掛け合いって肌に合うんだよなぁ。
全編コメディってノリの作品じゃないんだけど所々で出てくる掛け合いに思わずプッと吹き出しちゃいます。


最近、着せ恋や2.5次元の誘惑などコスプレ題材の作品に触れてきましたが小説だけあってかコスプレそのものの情報量はこの作品が一番ですかね。
工程や道具、布の種類とか色々とガッツリとまではいきませんけどそれなりに語られます。


ただ、一部着せ恋と被り過ぎていてちょっと首をひねる部分も。

ヒロインが主人公にコスプレ衣装を作って欲しいみたいな話をする所でそれが18禁のエロゲ(凌辱系)の衣装で、それへの愛をノンストップでいきなり語りだすとこなんてまんまだし、そこはもうちょっとオリジナリティだしても良かったんじゃないかなぁ。

というかコンシューマ版の調教モノってなんやねん(笑)


あと個人的に学園モノでそういう恥ずかしいあだ名とかもうやめません?的な事は思いました。
王子とか女帝とかキャラ付けとしては分かりやすいんだけど現代日本の学園モノでそれはちょっとイタくね?って思うのよ。
いや、作中で主人公も同じような事思ってたけどさ。


メインテーマとしては溺れる者は藁をもつかむって話かね。

栞にとって今の高校生活というのは復讐のようなものなのかもしれません。
自分を見下し嘲弄した多くの人間と、彼ら彼女らと似通った価値観を持つ多くの人間が、そうと気づかず、そうとは知らず、かつて見下していた自分を見上げているという現状。
そして彼女と「親しい特定の誰か」が描かれなかったことで彼女の変身への意志がポジティブな渇望ではなかったのではないかと、そう思わされました。

そしてそんな密やかな復讐を果たしながらも男性恐怖症という棘は彼女を苛みもしていたのではないかと。

そんな彼女の前に現れたのが蒼だったとするならば、かつての彼女を迫害せず見下さず、彼女の初恋の人だった蒼だったとするならば、彼女にとって蒼の存在は天啓のようなものだったのかもしれない。

男性恐怖症の克服に至る蜘蛛の糸であり、かつ諦めた初恋の成就という野望であり、かつての自分ほどではなくともスクールカーストの下層で細々と生きる蒼を自分のスキルで磨き上げ自分の隣に置くことはこれ以上ない程に輝かしいトロフィー足りうるのではないかと。

さすがにそこまで行くのは穿ちすぎな見方かもしれませんけれど、彼女にとって男性恐怖症という事実はどれほどに輝かしい高校生活を送ろうともその一点だけで全てをくすませるほどに大きな大きな棘だったのは間違いないかと。
だからこそ蒼にも打ち明けず、一縷の望みに縋り、まさに溺れる者が助けに来た者にしがみつくかの如く、必死のアプローチをかけたのではないかと。

少なくとも自分には彼女のそれは想い大きさとか重さではなく、そういった必死さを感じさせましたね。


愛歌に関してはそのまんまですね。
親戚たらいまわしの結果の変化への恐怖。
離れていく兄への不安、執着。

とはいえ、実際には3人の中では一番軽症にも見えるというのも事実。
彼女の熱情は栞の登場以前から既に醸成され熟成されてきたものだったであろうことは見えています。

栞の登場によって変わり始め、離れ始めた事で一気に点火着火爆発しただけで、変化への恐怖ゆえか、慢心と油断からか、怠惰な微睡のような心地よい停滞に浸りつつ、もしかしたら変化すら求めず今のままを夢想していたのか。


そしてこの物語は結局のところ蒼が何を選ぶのかというお話なわけですが、こいつはこいつで曲者で、正直現状栞を好きだという感情があるようには全く思えない。

愛歌への想いに無自覚だったわけもなく、そこからの逃避に丁度良い存在が栞だっただけの事なのでしょう。
可愛くてオタク趣味に理解があって、コスプレにすら理解もあれば素材としても十二分。
まさに天から降ってきたような恋人である。

なまじある責任感が栞の男性恐怖症への献身であり、閉塞感が変化を受け入れてこそいる。
栞に対しては情もあるだろう。
しかしこと恋愛感情という意味では愛歌しか見えていないんじゃないか?
そう思わせる節も無きにしも非ずではなかろうか。


ある意味でお互いに打算づくの栞と蒼の関係は、まさにこれからと言えよう。
一方で義理とはいえ兄妹関係である事や二人きりでの暮らしが世間体と倫理という面から阻んでくる愛歌との関係と、彼女自身の執着心と恐怖心の終着点はどこにあるのか。

栞も愛歌も蒼しかいないと思ってこそいるがそれははっきり言ってしまえばただの思い込みだ。
しがみつこうとする二人に対して今回蒼の取った行動は逃避である。
現状栞とのそれは逃避の為の恋愛なのだ。
そして栞をきっかけに服飾関係の業界からの注目が集まりだし、本人もファッションへの興味を持ちだした。
閉塞感と逃避、そして外の、新たなる世界。

ヒロイン二人は溺れている。
しがみつく先は蒼だ。

しかし蒼もまた溺れているのだ。
そして蒼はしがみつく先を見つけていない。


果たして3人は何を掴むのか。






うーむ、何を言いたいのか途中からわからなくなってとっちらかった感が凄い(笑)
後日弄るかも?

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